2012-01-01から1年間の記事一覧

バイバイ、2012

今日は2012年最後の日です。 浮かれてるひとも多いだろうね。 年越しなんて、特別な気分がしてたのは、精々、中学生の頃までかな。小学生の頃は、夜更かしなんて知らない健全な少年だったから、家族が「年越しそば食べよう」って、日付の変わるまで起きてる…

Sentimental Christmas

私がまだ、小学生だった頃、雪の降るクリスマスがありました。私の住む町は暖かい場所ですので、雪なんて滅多に降らないんだけれど、降っても淡いもので、積もる景色なんて雪国だけのお話だと思っていたんだけれど、その朝は確かに子犬のように浮かれたもの…

集団心理は渋柿のように口惜しい

横断歩道を渡ろうか、渡るまいかと、戸惑いがちの老婆がひとり。私はそれに気付いて車を停めた。ごく当然である。家族にそれを話すと、称賛されるだろうかと心躍らせていた私の思惑とは裏腹に、家族は怪訝な顔をした。 「危ないねえ。」 「お前みたいなやつ…

もう少年は死にました

私は確かに早朝の、誰一人の足音もない、霧の深い時刻に起き上がって、玄関先で虫除けスプレーを全身に振り、サンダルをつっかけて出掛けていたのでした。 それはまだ私が小学校に通っている時分でした。大人は誰もそんな幼い冒険心に付き合ってはくれません…

青春は足音もなく

男は商店で塩むすびひとつ求めた。男は素っ気ない様子であったが姿格好はみすぼらしく、哀れに思った店員は水をひとつ差し出した。しかし男は、握りしめた小銭をがちゃりと置いて、おむすびひとつ受け取って、店を後にした。喉は渇いていなかったらしい。本…