夕陽に追われて

今日は海岸沿いをドライブしました。
大好きなサザンを聴きながら。
そうして夕陽を見ました。
シャボン玉がぼくの目の前を横切りました。
子供が吹いているみたいです。
楽しそうな家族の声がしました。
美味しそうな煙が香って来ました。
それは波の音よりも憂鬱の気配がしました。
おやしろは誰よりも潮風を浴びて来たことでしょう。
ぼくは賽銭箱にそっと五円玉を投げ入れました。
夕陽はあっという間に沈むんですね。
赤らんだかと思うと、もう雲に隠れて。
ほんとうに、あっという間。
それで何も変わらぬ明日が来るんです。
ひょっとしたら変わっているのかも知れませんが、
ぼくには何も気付きません。
気付かずに、気付かずに、それで生きて来たんですから。
まだ、生きなければならないことは確かです。
だけど、もう、朝になって、目覚めるのが怖い気もします。
起きたらまた、パンをかじって、コーヒーをのんで、
そんな風に、ぼくの一日は始まるのでしょう。
途方もない。見当がつかない。
どうやって、生きて行けばよいのか。
不安になると、胸のあたりを切り開いて、掻きむしりたくなる。
もどかしい、ぬるい炎が、心の内にわだかまるのだ。
そのぼやぼやとした炎が、次第に上の方に上がって来て、
ぼくの瞳の奥を湿らすのだ。
逃げ出したい。とにかくもう。
ぼくはどこかで大きな失敗をしてしまったような気がする。

Posted by Mist