禁慾と灰色

うらがえしになって歩きたい。
そうでもしないと、つまらない。
食べ物を消化して、なくなったら、また新しい食べ物を口に運ぶ。そんな風に毎日がくりかえされている。
くりかえさないようにしても結局はくりかえしに抗えずにくりかえしてしまい、こんなにくりかえしにあふれた世の中なのだから、くりかえさない方がおかしいと、くりかえしてしまった自分を正当化する様がみじめで情けない。


今日から私はくりかえすことをやめます。
そう決めても、いつかくりかえしてしまう。
一年後か、十年後か、もっと先の未来で大きなくりかえしをしている自分が見える。


ジュースの瓶をさかさまにして、床にこぼす。
これさえもきっと蒸発してまたどこかでくりかえされるはずだ。
くりかえしからは逃れられない。くりかえしは怖い。全ての人間と全ての出来事に怨霊のように纏わり付いてくる。
一本の糸に見えるものは実は輪っかで、どこかで曲がって端と端が結ばってくりかえされる。


新しいこと、心に罅が入るくらいの衝撃的な出来事に出逢いたい。
ぐさぐさと罅が入っていって、仕舞いには割れてしまうような人生だったら面白いと私は思う。
くりかえされないことってありませんか。

Posted by Mist