帰り道のお話

ぼろ屋敷の庭にひっそり生えた柿の木に手を伸ばして、その実をひとつ千切ろうかと企んでみたが、生憎私は背が低く、高い所にぽつぽつ付いている柿に手が届かない。
また、長い木の枝を探して来る程の気力もない。ましてや木によじ登るやんちゃな時代はとうに終えている。
そこでふと足下に転がった石ころを見て、戸惑った。しかし、ごみ箱の周りに丸めたティッシュが散らばっている私だから、やはりそれも止して、いつものようにふらふら歩き出した金曜日でした。

Posted by Mist